2008年04月20日

勝負完結編

その日は雨でした。
パーティーが終わった時間はかなり激しく降っていました。
お帰りになるみなさんには申し訳ありませんが、この雨は僕にとって幸いでした。
テーブルの上を片付けないと一般営業に入ることが出来ません。
急いで片付けても、30分はゆうにかかる。
その間にお客様が来たら申し訳ない、でもこの雨ならまず来ないだろうと思ったからです。
常連さんがいらっしゃる水曜日や金曜日、土曜日でなかったのもラッキーでした。
もしこのパーティーが土曜日なら、回転のことを考えてヘルプを頼まなければならなかったでしょう。
ひとりでノンビリ片付けている時間なんてありません。
土曜日、ライブの時はひとりですが、出ているのはグラスだけ。
下げるのはあっという間。
今回は料理のお皿がイヤっていうほど出ています。
各テーブル(4卓・2卓をくっつけて1卓にしています)に大皿で出して取り分けるスタイルですから、
それぞれ、少しずつ残っているのです。最後の1個などは、みなさん遠慮して食べないものなのです。
料理は、1個、2個どころか随分残りました。
「お口に合わなかった」わけではないと思います。多目に出したのです。
年配の方が中心で、そんなには食べないだろうと思いましたが、
万が一足りないなんてことになると、これほどみっともないことはありません。
「料理がこれっぽっちしか出なかった」
そう言われるのは致命傷です。余った方がよっぽどマシです。
数人ならいざ知れず、20人近くのお腹の入り具合を計るなんて無理です。
まして、お酒を飲みながらです。
最初ツマミながら、後ガツンと食べるタイプ、最初腹ごしらえして、チビチビ飲むタイプ、
いろいろなタイプがあるのです。
お腹にたまるものを最後の方まで出しておく必要があります。
否応なく、余ってしまう。
もったいないとは思いますが、ここは目をつぶらなくてはいけないところだと思います。

とは言ったものの、「ちょっと出し過ぎたかな」と誰もいなくなった店内を
見渡していた時に電話が鳴ったのです。
「はい、ミュージカンテアマネです」
「・・・もしもし」
馴染みの声です。
美声の友人です。
電話に出た後の数秒の間(・・・)は、彼独特の間です。
「どうしたの ? 今、パーティー終わったところ」
「散らかっているけど、来れば ?」
友人ですから、片付けているところに来てもらうのに、何ら支障はありません。
10分か、15分か後。現れました。
「これこれ」と言いながら僕に差し出しました。

001CIMG7925.jpg

本です。
以前から、「読ませたい本がある」と言ってたのを、持ってきてくれたのです。
彼から本を渡されたのは初めてでしょう。
「本、読む時間ある ?」
「あるよ (笑) 」
その日、早速帰ってページをめくりました。
タイトルと大筋は聞いていました。いわゆる「成功の秘訣本」です。
開けて最初に飛び込んできた文字、
「出会いは決して偶然ではなく・・・」
あれ ?
これ、普段僕が使っている常套句 ?
本の中の主人公(筆者のようです)は、脱サラして独立、飲食店を始めるのですが
畑違いだったこともあり苦しんでいたところに、ある人と運命の出会いをします。
主人公がその人を通して成功の秘訣を学んでいく、つまりそれを僕たち読者に伝えていくという仕組みです。
本の帯には『なぜゼロから大成功したのか』というキャッチコピーが躍っています。
読みながら美声の友人のことを思いました。
本の内容以上に、彼の気持ちが僕に力を与えてくれたのは言うまでもありません。
そして、その日のパーティーを「ひとりでこなした」といい気になってた自分が恥ずかしくなりました。
実際動いたのは僕ひとりですが、そこにいくまでには、彼を始めとする周りの応援や、
サポートがあったからこそ出来たのだということを忘れていたからです。

人は鍛えられていきます。
だから、勝負する気になるのです。
挑戦できるのです。
ただ、鍛えるにも勝負するにも「相手」あってのこと。
「相手」に感謝することなくして、本当の勝負師とは言えないでしょうね。

おわり
posted by セキシュウ at 22:01| Comment(0) | 飲食 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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